価値観を大切にする男

#186
滝口 2025.10.07
誰でも

こんにちは、滝口夫婦です。

以前Grand Flowの会員だった男性・牛山さん(仮名)から、

「ぼくのこと、小説にしていいですよ(笑)」

と言われたので、牛山さんの婚活の紆余曲折を土台に、

こんな小説を作成しました。

***

価値観を大切にする男

牛山さんはよく言う。

「僕はね、外見とか年齢とか気にしないんです。価値観さえ合えば、誰でもいいんですよ」

それは会社の飲み会でも、マッチングアプリのプロフィール文でも、必ず添えられている決まり文句だった。

同僚たちは「理想的だね」と言い、女性たちは「柔軟な人ね」と好印象を持つ。

だが人に紹介されて実際に会って話すと、牛山さんは首をかしげる。

「うーん、趣味が違うかも。映画はちゃんと字幕で見るタイプがいいんです」

「犬好きなんですか。僕は猫派なんですよね」

「なんでコーヒーに砂糖入れるんです? 本物の味が分からない人とは…」

そして数日後には、

「価値観が合わなかったので」と丁寧なメッセージを送って終わりにする。

ある日、牛山さんはAI婚活サービス「マッチ・オントロジー」を試すことにした。

自称・哲学的アルゴリズムを使い、人間の“価値観”を数値化するという。

彼は細かく条件を入力した。

「動物は猫派、映画は字幕、コーヒーはブラック、朝は静かに新聞を読むタイプ。

行列に並ぶのが嫌いで、でもトレンドには遅れたくない。

食事は和食中心で、でもパクチーは少しだけ許せる…」

牛山さんは自分のありとあらゆる価値観をすべて入力した。

Enterキーを押すと、AIは静かに処理を続け、画面に結果が表示された。

《あなたと価値観が100%一致する人物が見つかりました》

牛山さんは胸を高鳴らせながら、マッチング相手の名前をクリックした。

そこに表示されたのは――

「牛山さん、あなた自身です」

画面の隅には小さな注意書きがあった。

《理想の相手が自分自身である確率:統計的に非常にまれ》

牛山さんは苦笑した。

「まあ、確かに一番価値観が合うのは僕しかいないか」

数分後、彼はふと思いついて、AIにメッセージを送ってみた。

「あなたの価値観は、僕と合いますか?」

AIは一瞬、返答をためらったようだった。

だが次の瞬間、スクリーンに冷ややかな文字が浮かんだ。

《私はあなたの条件には合いません。私は眠らず、猫も飼わず、コーヒーも飲みませんから》

牛山さんは深くため息をついた。

それから、ブラックコーヒーを一口。

――やはり少し、苦すぎた。

***

ちなみに、牛山さん(仮名)は今はすてきなパートナーを見つけて

楽しく過ごしています!

GrandFlow!大いなる流れを大切に!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●結婚相談室GrandFlow https://www.grandflow.jp/

●配信停止はこちら https://grandflow.theletter.jp/ このページの右上の「メニュー>設定>ニュースレターの受信設定>受け取らないに変更」でお願いします!

●コメントください! 下にある「コメントする」ボタンを押すか(一度ログインが必要です)、こちらまでお願いします grandflow.jp@gmail.com

無料で「Grand Flow」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら